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つぼやま ひとし
坪山斉
Hitoshi Tsuboyama
坪山斉の作品をよく見ると、地形図の等高線のように立体をとらえている描き方に気付く。
その等高線によって区切られた面を今度は個性や特徴を消すかのように塗りあげている。
西洋絵画における立体的な表現と、東洋絵画のもつ平面的な表現のよい部分を併せもつように描かれているのだ。その立体と平面とを行ったり来たりじっくりと見てみると、自然と肖像画の持つ個性が失われてゆき、なぜか外から眺めた風景のようなものを感じるのである。
坪山斉は仙台で生まれ育ち、難関の東京藝術大学の油画を卒業した。
その後は福岡で教鞭を取りながら作品の制作を続けていたのだが、東日本大震災のニュースを見たのは現在も住んでいる福岡からだった。テレビの映像から目に入ったのは仙台のビール工場がドミノ倒しのように倒壊し、ビールが大量にまき散らかされている衝撃の情景であった。
坪山斉が描くこのビール工場倒壊の作品は、なぜかその情景を外から覗いているような感じがする。
それはこれまでずっと近くで見ていた風景が衝撃的な情景に代わり、それを外から映像として見るしかない悲しさを物語っているようにも感じるのだ。
このように絵画を通じて、技法においてもコンセプトにおいても常にチャレンジをし続ける姿勢はぺインターとして貴重な存在である。
坪山斉の作品は今や台湾や韓国などアジアを中心に多くのアートフェアにて出品され、安定した人気を誇っている。
今後も国際的な活躍が期待されていることから、価格が高騰する前にまずは一枚は持っておきたい作家の一人である。
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