トップページ > 伊藤咲穂 > Crazy direct mail IV

「Crazy direct mail IV」伊藤咲穂, 37 x 37 cm, ダイレクトメール(紙)、アクリル、澱粉糊
紙に対する恐怖心の記憶は郵便受けに、無造作に詰め込められた、溢れんばかりの大量のチラシ、DMの光景だ。それは日常にある一種の狂気にも感じる。
一方的な情報と、ポストを象徴する赤色。紙は、それだけでは用途としての意味を為さない。文字や情報が印字され初めて用途としての価値を持つ。
その情報は驚くほど短期間で生まれては消え、意味のない情報となっていく。私たちはそれらの情報をどのように処理して行くべきなのか?過去のものとして既に役目を終えた情報は、ただ意味を持たず素材として存在する。作品に使用されている DMやチラシは自身のアート活動で作られた過去の展示情報である。
作家情報
Japanese paper artist (Sabi washi錆和紙)
1989 島根県浜田市 誕生
2012 作家活動
2014 武蔵野美術大学 工芸工業デザイン学科 テキスタイル専攻 卒業
現在 東京都、島根県を拠点とし、作家活動
人間とマテリアルについて考えるとき、日本人は古来から神、そして紙、と共に生活をしてきました。中国より4~5世紀ごろに伝えられた紙漉きの技術は、主に〔札、人型、写経〕などに用いられ、神聖な素材として大切にされましたが、今や生活必需品としてではなく、工芸品としての価値が高まり、紙漉きは文化として、ユネスコの世界無形文化遺産として登録されています。
日本ではしばしば、「和紙」は古典的な素材として印象強くありますが、実は素材として常に単一的で、変容性を持った素材なのです。物体としての作品を作るとき、マテリアルとの関わりは、必ず強い連帯関係を生みだします。それは、和紙のもつ古い歴史と日本文化が、現代に生きる自身の記憶と社会の変動を、交互に行き交うからに他なりません。和紙を古く新たな素材として捉え、表現しています。
作品名 | Crazy direct mail IV |
---|---|
Title | Crazy direct mail IV |
作家名 | 伊藤咲穂 |
Artist | Sakuho Ito |