気軽にどこでも飾ってみてはいかがでしょう?古着やハギレから作り出される”ぬいぐるみ”たちが織りなす安部のインスタレーションは、この世界の縮図をあらわしているようだ。決まった型紙をもたない個々の”ぬいぐるみ”たちは、色や柄、素材や質感といった異なるエレメントの無作為の組み合わせと偶然の連鎖によって、それぞれことなるアイデンティティを持ち合わせてこの世界へと生み出されてくる。植物や動物、飛行機やロケットなど、モチーフは自然のものと人工のものとが混在しながらも、すべては共生し、ときに融合している。安部にとって、この世界のあらゆるものは平等で同列な対象として存在しているのだ。
「猫のしっぽをたどる話」(2009年HIGURE 17-15 cas発行)より抜粋