GALLERY TRINITY (ギャラリー・トリニティ)にて展示中!
「Unbleached Vol.6」《2009年5月12日(火)~5月30日(土)》
http://www.g-trinity.com/schedule/index.html
キャンバス側面
作家コメント
丸くなり 湯舟に浸かる 深くまで 絶えず脈打つ 宇宙のカケラ
春草絵未
春草絵未の創作について
春草絵未の作品を最初に見たのは、GEISAIでのことだった。他のブースとは違う白い床に、引き寄せられるように靴を脱いで近寄った。
白地の画面に、淡い彩色でなにやら浮かんでいる。いつもは目にも留めない花や蟲や地味な金魚などの小さな存在たち、また、忌避の対象になる蜘蛛や蝙蝠や蠅、はたまた、屋根の上のTVアンテナや電線など。普段は主役になれないものを逆にメインに据えているのが印象的である。
さて、春草は、移動の手段にバイクを使っている。本人の容姿や作品から受けるイメージとかけ離れているように見える。が、人は誰でも二面性を持っている。
バイクの疾走感に対してゆったりとした時間が流れる作品。
一見朗らかで和む画面の中にある忌み嫌われる小動物たち。
両極に振れているものが、春草の表現にあるようだ。
バイクの楽しさは言うまでもなくその“自由さ”につきると思う。でも2輪で動く車体は4輪より明らかに不安定だ。自由という喜びを享受するには、何かしらのリスクを全面的に自分が引き受けて成り立つ。
作品上の浮遊感のある自由は、メッセージ性がないような表現 というリスクと共存しているかもしれない。
しかし、そのことは、作家にとってどちらでもよく、日々淡々と描き続けていくだけだ。
これらの創作は、春草が限りなく綴る抒情詩のようなものだから。
いわゆる脇役で、いたって地味にみえる色んなモノがこの世界を構成している。取り立ててトピックスのない普通の日常が、自分の人生をカタチ作っていくのだ。
その何気ない大切な一日一日は、ずっと続いていく。あたかも、春草の作品が上下に左右に拡がっていき、また、何も描かれていない空白がただそこに在る様に。
Ohshima Fine Art/大島義之