平凡ではない日常での散歩
弘益大学版画科及び絵画科を卒業し、現在絵画科の大学院に在学中の若手作家、キム・ジェウォン。2009年2月4日(水)から18日(水)の期間、東京における初個展を終えた。これまでには東京での個展を含め、4回の個展を経験している。
若手作家ではあるが、中国での個展、及び様々な国際交流展、企画展を通じ、活発な活動を続けている。
キム・ジェウォンは作品のモチーフとして主に車、花瓶など我々の日常生活において身近な素材を用い、制作している。夢の中の幻想と、日常の中の記憶などを陳列し、独自のアイデンティティを表現していく。それは、時には幻想的で、時には歪曲された形となって現れ、我々の頭の中に描かれる平凡な日常のイメージを通じ、小さな記憶の破片が集結したものとも捉えることができる。
大人たちには人生における小さな発見や面白みを、子供たちには、希望や喜びを与え、人のイマジネーションを発掘するかのような、作家の意図が窺える。
柔らかな線の流れと、暖かい色感の調和、そして繊細なタッチ。我々が日常で自然と触れる素材を、春の日差しのように暖かな視線で描き出す。何気なく流れゆく日々を、決して平凡な事ばかりではないと、キム・ジェウォンの作品は物語っている。
〔クムサンギャラリー東京 2009年キム・ジェウォン個展 プレスリリースより抜粋〕