『i-D』や『Purple』など、ファッション・カルチャー雑誌を通して世に知られることになったロンドンを拠点に活躍する写真家ティルマンスは、今やイギリス、ヨーロッパのみならず日本においても、若い世代を中心に絶大な人気を誇っています。空を翔るコンコルドの写真はあまりにも有名であり、2004年に新宿オペラシティ・アートギャラリーで開催された個展には多くの人が訪れました。まさに新しい時代の旗手として脚光を浴びている写真家のうちでも最有力な存在。と言えるでしょう。2000年には、ドイツ人として初めてイギリスのターナー賞を受賞しています。身の回りの何気ない静物、脱ぎ散らかした洋服、旅先での風景など、普段は見逃されがちなものを撮りながらも、他では見たことがないような繊細さを持った写真で人々を魅了しています。近年では古典的なものに対する興味も表現するようになってきましたが、このテーブルの上の不透明なワイングラスと水の入った透明のグラスから何を想像されますか。ヨーロッパでは、「水」は哲学を表し、「ワイン」は聖書・宗教を表すこともあるようですが、そうした知識的な意味ではなく、私たちがいつも見かけている「美」として楽しんでもよさそうです。手頃な価格の小さなサイズの写真で、憧れのティルマンスの写真を手に入れられるこの機会をお見逃しなく。