色とりどりのタイルピースを造形し貼り合わせて絵を構成する、ユニークなタイルモザイク手法で創作を続けている落合香木(かなぎ)氏。つややかな素材質感をいかしながら、タイルを自在にマトリクス化して童話のワンシーンのように温かみのある描画を創出。おもに少年や少女の感受性の世界へ、自己の内面を投影しながら表現しています。室内装飾にぴたりとマッチする絵として、おすすめです。
本作は「月」シリーズとして制作した中から「9月」編。「9月の明け透けな空気感と切り取られた記憶」をテーマに制作したという大型の作品です。セメント締めしたスタイロホームにモザイクを貼り付けることで作品表面が波打つ形になっている珍しい作品で、タイルモザイク技法に特徴的な光の反射をより強くお楽しみ頂けます。個展「落合香木展 N.E.blood 21 vol.72」(2020年、気仙沼・リアス・アーク美術館)で展示され好評を博しました。