絵具のリッチなニュアンスを活かして精緻に描きあげる油彩画、それが亀井雅文氏の世界です。何気ない情景やスナップなど日常のありふれた「リアル」を、宝物のように丹念に描きとめています。本作は、絵に抽象的なペイントを、ジャミングするようにかけ合わせた最近のシリーズからの自薦作。焼津市のアートフェア「ARTあんえっとん 焼津芸術寄港」(2016年11月)にて展示されました。写実力だけでなく、そこに長い時間注がれる亀井氏のまなざしの深さにチューニングを合わせ、モチーフのリアル感と、描かれた「絵画」というマテリアルのリアル感の合間を空想で行き来できる、そんな不思議な味わいが魅力です。