紙を基本のマテリアルとして使用するアーティストは数あれど、紙(=紙幣)そのものが媒体となりナイフがペンのかわりとなるアーティストはそうはいないだろう。形態的には、紙幣はただの紙であるが、その紙の意味するものにくっきりと光を当てたのが、ジャスティン・スミスの作品である。
本作は、紙幣で示された文字と、その文字に対する我々のリアクションを主題とした“Money Word”シリーズからの一品である。本来ならば意味をもたないはずの文字であるが、お金という概念がからむことで、我々に、裏がある、もしくは感情的な気分を引き起こすのはなぜであろう。