生まれてから死ぬまで、人はどれだけ鼓動を刻んでいるのか? そうしたシンプルな疑問に答えるかのように、ユニークな制作を続けているアーティストがいます。「Heartbeat Drawing SASAKI」というアーティストネームを持ち、その名前の通り「心臓の鼓動に合わせて線を刻む」という一連の制作活動をしています。手首に機械を付けて脈拍を測りながら、その鼓動のリズムを手描きで紙やアルミ板などに写しとるという単調な方法で、鼓動を視覚化してきました。赤いインクで書かれた1cmほどの振幅は、ひとつの山が「一鼓動」を表しています。1995年から続けている「ハートビート・ドローイング」の制作は、2007年現在で12年目に突入。これからもこの作業は続き、編み目状の模様が果てしなく広がっていくことでしょう。本作品は、1か月分に相当する鼓動量のドローイングをオフセット印刷し、一冊のブック形式(1000ページ)にまとめたアーティスト・ブックです。透明なアクリルケースに収めたことで、より重量感のあるオブジェ的な作品となりました。本を開いてみると、紙一面に広がるその膨大な振幅数に、圧倒されること間違いありません。ぜひ一度本物の迫力をご覧ください。