1980年代末から90年代を通して、石内の仕事は、自分と同年生まれの女性の手足を写した「1・9・4・7」など、人間の身体の表面を接写する一連の作品を中心に展開してきました。同い年の同性の手足というモチーフから始まったこの仕事は、しだいに年齢や性別を越えて対象を広げて行き、その過程で石内は傷痕というテーマに出会います。
≪Bay side courts≫という作品は、「表面の時間が溜まった壁のディティールで肌みたいなもの」と作家本人が語っているように、建物を写した初期の作品と1980-90年代の作品をつなぐ作品として石内都の写真の魅力を感じさせます。
1999年 石内都展 モノクローム ― 時の器(東京国立近代美術館)
2004年 横浜写真館展(BankArt)