亀井雅文
Masafumi Kamei
古着を中心に身につけるモチーフを細密に描き出す油彩画で知られる亀井雅文。
シワや色あせなど使い込まれた質感が驚くほどリアルに描き込まれているが、巷でブームの写実画とはちょっと様相が異なる。描かれているのは、ポップなプリントT シャツや迷彩柄のスニーカーなど、トレンドを感じさせる現代的なアイテムだ。
それもそのはず、桑澤デザイン研究所でドレスデザインを学んでいたという亀井は、在学中に同期であったスチャダラパーのオリジナルメンバーとしても活躍したという異色の経歴の持ち主。
ファッションや音楽など現代のサブカルチャーを背景に持つ亀井の作品は、まさしく現代のポップアートといえるかもしれない。
2013年には、アクリル画による新シリーズを発表。設計と配色をパソコン上で決定し、ゴム筆を使って絵具を盛り上げるように塗るという変わった技法は、試行錯誤のすえ完成した独自のスタイルだ。
未だ制作に大きな影響を与えているという1970-80年代頃のミュージックカルチャーが コンセプトになっている。ポップでありながらもノスタルジックな雰囲気を併せ持ち、とりわけ同世代には強い共感をもたらすに違いない。
進展めざましく、確実に新たなファンを獲得しつつある亀井は、今後も右肩上がりの活躍が期待できるアーティストだ。
