阿部くらら

clara abe

阿部くららは2018年に東京造形大学の大学院を卒業したばかりの気鋭のアーティスト。 本人がテーマとしている「モデル」とは、ファッションモデルという意味ではない。 さまざまな形式の職業であったり、またはそれを模倣したものなど、ある型にはまった人達を意味するという。

作品の制作では、自分とは関係があるわけではない人達の画像を、インターネットや雑誌から選んでモデルのモチーフとしているようだ。

世の中にあるさまざまな「モデル」のイメージは多くのメディアにて流布されていおり、我々は勝手にイメージを創り上げている、と阿部くららは言う。 しかし、実はモデルにはオリジナルのようなものはなく、それぞれの人が抱いているイメージの中でのみ存在しているということだ。

「モデル」となったものは、実際の人がインターネットの画面や雑誌の画像から取り出したものであるが、それを阿部くららは再度キャンバスに描き起してみることで、そのもののもつ生身を生き返らせているのだろう。

敢えて写実的にモデルを描くのではなく、そのものの特徴をえぐり出すかのように一気に描くのが阿部くららの真骨頂だ。 モデルはほぼ無表情に見えるが、それがもしかしたら彼女の目から見たモデルの典型的な姿なのかもしれない。

これからどのようにアーティストとして成長していくか、阿部くららの活躍に期待したい。