「ColourfulBlack 色とりどりの黒」というベースコンセプトで鮮烈なデビューを果たした、yutaokuda氏。おもにブラックインク一色によるペン画でありながら、まるでそこに豊かな彩りがあるかのような洗練された構成美、緻密で「カラフルな」黒づかいが彼の絵の魅力です。
モチーフのほとんどは生きものたち。「beautiful foodchain」をコンセプトに自然の摂理の美しさを描いています。表現手法はここ数年で、線のみの計算された細密画から、墨の滲みという偶然性も援用するアプローチへと展開してきました。
この「Abstractシリーズ」も偶然性がテーマになっており、滲みの中からアウトラインを抽出し、生きものをかたどっていく描き方をしたものです。銀箔は、前に立つ人、部屋の色などが反射して、その場その時で表情を変え、酸化による銀箔の複雑な変化も、無作為が成す効果のひとつとして美しさを一層引き立てています。