軍人、陸軍大将。第三代幕府元帥。
現役時代は数々の戦場で武功をあげた伝説的兵士として知られたが、第一線を退いた後は軍・政府内の政略に巻き込まれて長く不遇の時を過ごした。それでも、私心を持たず忠義を重んじて国家の意向に従うことを貫いたその姿勢は、武骨な人柄も相まって帝家をはじめとする朝廷中枢部から厚い信頼を得ており、正統戦争末期に起きた御堂義治暗殺という非常事態の際には、皇帝から「他におらぬ」という表現で後継元帥に指名され、敗色濃厚の困難な時期に国の舵取りを担った。その後、終戦を望む皇帝の意を受けた三國は北島軍への降伏の決定を下し、五山朝五百年の歴史の幕引き役という重責を果たした。戦後、五山朝の最終皇帝となった第二十五代皇帝は、三國に「愛国武臣」の称号を下賜してその労をねぎらったが、三國はこれを丁重に固辞して下野し、晩年は郷土で農業に従事した。