津上みゆきの油彩画シリーズ『 View - 13 thoughts, 2010-12 』は、3.11が発生した2011年をまたいで13作品が制作されました。
一貫して風景を描いてきた津上にとって、3.11は、それまで眺め、描き続けてきた風景を同じ視線では見つめさせない衝撃でした。
多くの作家達も同じ気持ちであったと思われますが、それでも前に進むためには、やはり描き続ける必要があり、このシリーズが継続されました。
当たり前のように見ていた震災前の風景、そして一見何も変わらないようにも見えるが、同じ気持ちでは見ることの出来ない風景、その変化を心の中に持ちながら制作は続きました。
それら13作品が制作されるに当たり、描きためられた多くの水彩によるスケッチから震災後の2作品を選び、それをモチーフとして木版画(リトグラフ併用)が制作されました。
油彩画に昇華される前のスケッチに立ち戻ることで、風景に立ち向かったときの気持ちが非常にストレートに顕れた表現となりました。