MIYA ANDO(安藤美夜)が手がける鉄を用いた平面作品や立体作品は、「アイデアの対比と並列」を主題として成り立ち、その作品の根幹は、素材の表面を変化・変幻させることにあります。
この作品は、安藤が'Aluzome'と名付けたアルミニウムを染色する技法を用いて制作されています。
布の染色と同じような行程を得たアルミニウムは、微妙なグラデーションのなかに物質性と相反する柔らかさを持ちます。
日本とロシア系アメリカの出自をもち、備前国(現在の岡山県)の刀鍛冶職人であり、のちに僧門に入った安藤正勝を祖先にもつ安藤は、岡山県のお寺とカリフォルニア州北部の沿岸で幼少期を過ごしました。
刀鍛冶の16代目の子孫として、また幼い頃から慣れ親しんだ仏教の教えを受け入れつつ、安藤の作品は瞑想と光を織り込んだものへと変化を遂げています。